【後書き】
いや~やっと終わりました。
今まで長編は書いたことが無かったのですが、ここまで読んで下さった方々に感謝です。お楽しみ頂けましたら幸いですが。
思ったより長引いて半年以上かかってしまい、しんどかったですが、内容自体は事実を記せばそのまま物語になるという、その意味では楽でした(笑)。調べ物は多かったけど。
クーデンホーフ光子さんについては、ちらっと聞いたことあるな、くらいだったのですが、去年、小説のネタ探しにオーストリア軍人についてネットでさくさくやってる内にふとミツコの記事にヒットして、何か妙にハインリッヒに惹きつけられちゃったんですよね。あれ、こんなにかっこいい人だっけ、と(笑)。
調べれば調べる程この一族にハマっていって、何でこんなに面白い話を今まで知らなかったのか愕然としましたよ。
私が勉強不足だったということもありますが、ミツコとこの一族はもっと有名になってていいはずなんですけどねえ。
この小説がもしちょっとでもクーデンホーフ=カレルギー家の宣伝になれば嬉しいですが。
皆さんも宣伝してくださいねw。
さて、物語についてですが、何せ百年以上も前のことなので、一個人の私生活については資料も少なく不明な点が多いです。ミツコとハインリッヒの出会いと結婚の経緯とかハインリッヒとマリーのこととかね。
どこから出た話か、ハインリッヒが雪で落馬してミツコがそれを助け恋に落ちたというエピソードは、あまり信じている人はいないようです。
そりゃ雪国育ちで乗馬の名手だったハインリッヒが雪道で馬ですっ転ぶとか、そんなどんくさいこと信じられませんw。
多分、結婚のきっかけが言いにくいことだったからそうなったんでしょうね。
ハインリッヒは一生結婚するつもりが無かったぽく見えることや光子を妻とは呼ばなかったことから、どうも義務というか義理の結婚っぽい印象を受けたのでこういう話になりました。
あと、リヒャルトはハインリッヒとマリーの子供について、「ハインリッヒは二十年に渡り探偵を使って子供を探した」と述べていますが…。…嘘くせえw。
ドリーマーなリヒャルトはたまに妄想書いちゃってるので、これもどれだけ信憑性があるのか疑問です。
もしリヒャルトが言うように「子供に恨まれていることを恐れていた」なら、あのハインリッヒが新しい女と子供を連れてノコノコ戻って来るかなあ。まあ、国から帰国命令があったのですが。
もしかしたら、罪の意識からハインリッヒの子を恐れて探していたのはフランツ父上だったんじゃないかな、という気がします。
ハインリッヒは案外早く光子に打ち明けて、ロンスペルクでは「いつもピストルを忍ばせて」妻子を護っていたのかもしれませんね。実は子供は三歳で亡くなっていた訳ですが。
しかしややこしいので、本作ではすっきりと、ハインリッヒは子供の死をすぐに知っていたことにしました。
先程書いたように、資料が少なく不明な点が多いので、色々な解釈や想像の余地が出てくる訳で、この作品も、私の解釈の一つです。
割合としては事実五割、推測と多少の盛りが三割、フィクションが二割、といった感じでしょうかw。
皆さんもぜひこの一族にどんな物語を見出せるか試してみて下さい。
変えたことと言えば、まず光子の名前は美津に変えてしまいました。
彼女が光子と名乗るのは後年で、日本での戸籍では「みつ」と書かれているのですが、それに好きな漢字を当てました。
以前から、古い時代の物語で女性登場人物に「美津」という名前を使いたいなーと思っていたので、ちょうどいいやと思ったんですよね。
それから、光子とハインリッヒの子供は本当は五人では無く七人もいたのですが、これもちょっと全員のことを書くのはややこしいと思ったし、イダ・フレーデリケとカールのエピソードにはあまり興味を引かれなかったので、(といっても二人とも充分に面白い人生だったと思いますが)思い切ってカットしました。
他にもハインリッヒの弟のハンスは実は二男では無く三男(二男が早く亡くなったので実質的に二男になった)とか、マリーお母様はフランスの生まれ育ちでは無く実はロシア生まれフランス育ちとか、ほぼストーリーに関係無いことではいちいち説明は邪魔だと思ったので、細かいことは(AA略、ということで多少のことをすっきり変えてあります。
年代についても変わっていますが、これはオルガを倒錯者にしてしまったせいです。クーデンホーフ=カレルギー家の皆さんすみません^^;。
ハインリッヒが亡くなった時にオルガをできるだけ年上にしたかったのでハンスと双子で長女にしました。本当は二女で、リヒャルトの方が「兄上」だった訳ですが、戦後の再会の時にリヒャルトをハインリッヒが亡くなった時と同じ年齢にしたかったので年下になりました。
もちろん、本当はハインリッヒもオルガも倒錯者ではありません。…多分w。ハインリッヒがものすごいマザコンだったのは確かですがw。
ハインリッヒを調べていると、その書記だった小シーボルトさんも絡んできて面白かったです。
公使館が賊に襲われた時、シーボルトは居なかったでしょうが、せっかくの剣士なのでご登場頂きましたw。
何か明治時代ってあんまり面白いイメージが無かったのですが、世界史の一環として見てみると結構面白かったかな。
ハインリッヒという人は、本当に百年前の人物とは思えない程、近代的な意識を持った人でびっくりします。
また他にも、お雇い外国人とか、ハインリッヒに劣らぬ変人が多くてねー(笑)。
やっぱ、人を調べるのは、その人間が魅力的であれば面白いです。
参考文献は、ほとんど図書館で取り寄せてもらえるのですが、光子の手記とかリヒャルトの回想録とか、読んでるとやっぱ欲しくなっちゃって…。
本来ならタダで済むのに、この作品を書くのに古本屋で一万円位かかっちゃいましたよ^^;。
実はオーストリアとかチェコとか、中欧には行ったことがあったのですが、その時はまだ光子とクーデンホーフ=カレルギー家に興味を持つ前だったので、今思えば惜しいことをしました。
まあどの道、ロンスペルクとか普通はツアーでは行かない所だったでしょうが。
もしあの時知ってたら、ウィーンで「ここを光子とハインリッヒが歩いてたのね~うふふふふv」とかできたのにぃ(←キモいです)。
しかし、中欧はとても美しかったので、ぜひまた行ってみたいです。
それでは、長らくお付き合い下さいましてありがとうございました。
ミツコとクーデンホーフ=カレルギー一族については、これからも小説の他に演劇や映画など、いろんなジャンルに広がっていくポテンシャルを備えていると思いますので、いつかそれらの色んな作品を目にすることが出来るのを楽しみにしたいと思います。
もう幾つか観たけど、もっと観たいですもんねー。映画化希望!
ご興味を持たれた方はぜひ彼らの人生に触れてみて下さいね。

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